―― 本番までの時間も短くなっていき、前日、二人は教室にいた。
―― みんなのテンションの余韻がいつまでも残り続ける空間で、
―― それを跳ね返すような「本物の」オーラを見せている。
「いよいよ、あさってだな」
「明日は雨天とでも思ってんの？」
「いや、休日が」
「その前に明日のこと考えてろ！！」
「で、明日なのね」
「最後だな、もう」
「と、騎馬戦だけは何が何でも獲らなきゃな」
「ああ、学年種目を獲るってのは至上の栄光だ」
「今まで 2 年とも獲ってきたからこその栄光だろ」
「一昨年は何したっけ」
「入場行進」
「いやしたけども！！したけども学年種目の話だから今は！！！」
「え、学年種目？しかも一昨年？......騎馬戦でしょ」
「確かにそんときの 3 年生は騎馬戦だったけども！！！」
「わーった、わーった。1 年生だろ、俺らね？」
「そう」
「なんかの競走」
「いや俺も競走だったのは覚えてるけど！！その「なんか」が分かんないの！！」
「さぁ」
「思い出さして！！どうしても分かんないから」
「何？『おもいでさして』？」
「文字から読んでんじゃねぇよ！！普通にしゃべっただろうが！！！」
「俺も覚えてないな」
―― ムカデ競走だろ？
「ああ、思い出した、それ、うん」
「そうそう、ムカデ......って何で知ってんの！！」
「それは言えない」
「ええー、教えてよ〜〜。......って何でお前がそんなこと言えんの！！」
「それは言えない」
「うぬぬ。言えない？」
「それは言えない」
「明日、騎馬戦に出る？」
「それは言えない」
「言えるだろ！！」
「......」
「じゃあ、去年の学年種目は？」
「それは言えない」
「つまり覚えてねーんだろ！！」
「ウソだよ。『タイヤ取り』だよ」
―― ※注・タイヤ取り : タイヤを奪い合う競技。たまにケガ人が出る。
「ふぅ、もう 6 時だ」
「どうせだから、明日まで語り明かそうぜ」
「無理っしょ。......やれるもんならやってみたいけど」
「そんな生半可な気持ちじゃ無理だ」
「さっき『どうせだから』とか言ってたヤツが語れるセリフかそれ！！！」
―― 想いが交錯し突き抜けてゆく。いざ決戦へ。
〜執筆後記〜
ちょっと分かりにくいネタっぽくてごめんなさい。
私の学年、ムカデ競走もタイヤ取りも騎馬戦もしました。
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